屋外タンク貯蔵所の検討から運用開始までを任せていただくことになりました。
必要事項を備忘録として記載していきます。
1_水質汚濁防止法の概要
(1)目的(第1条)
この法律は、工場及び事業場から公共用水域に排出される水の排出及び地下に浸透する水の浸透を規制するとともに、生活排水対策の実施を推進すること等によって公共用水域及び地下水の水質の汚濁(水質以外の水の状態が悪化することを含む。以下同じ。)の防止を図り、もって国民の健康を保護するとともに生活環境を保全し、並びに工場及び事業場から排出される汚水及び廃液に関して人の健康に係る被害が生じた場合における事業者の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図ることを目的としています。
(2)定義(第2条他)
この法律で使われている主な用語の定義は次のとおりです。(以下、「政令」とは、水質汚濁防止法施行令のことをいいます。
-
- 公共用水域:
河川、湖沼、港湾、沿岸海域その他公共の用に供される水域及びこれに接続する公共溝渠、かんがい用水路その他の公共の用に供される水路(終末処理場を設置する下水道は含まない) - 特定施設:
有害物質や生活環境に被害を生ずるおそれがあるような汚水又は廃液を排出する施設で、政令で指定されたもの - 有害物質:
人の健康に係る被害を生ずるおそれがある物質として政令で定める物質 - 指定地域特定施設:
建築基準法施行令に基づく基準により算定した処理対象人員が201 人以上500人以下のし尿浄化槽のうち水質汚濁防止法第4条の2第1項に規定する総量規制に係る指定地域に設置されるもの - 有害物質使用特定施設:
特定施設のうち、有害物質をその施設において製造し、使用し、又は処理する特定施設(指定地域特定施設を除く) - 有害物質貯蔵指定施設:
有害物質を含む液状の物を貯蔵する指定施設(⑮参照) - 特定事業場:
特定施設又は指定地域特定施設を設置する工場、事業場 - 有害物質使用特定事業場:
有害物質使用特定施設を設置する特定事業場 - 汚水等:
特定施設から排出される汚水又は廃液 - 排出水:
特定事業場から公共用水域に排出される水(汚水等だけでなく、これらを処理したもの、生活雑排水、冷却水及び雨水を含む) - 特定地下浸透水:
有害物質使用特定事業場から地下に浸透する水で有害物質使用特定施設に係る汚水等(これを処理したものを含む)を含むもの - 指定地域内事業場:
特定事業場のうち指定地域内にある1日当たりの平均的な排出水の量(日平均排水量)が50 ㎥以上の特定事業場 - みなし指定地域特定施設:
湖沼水質保全特別措置法第 3 条第2項に規定する指定地域内に設置されるもので、病床数が 120 以上 299 以下である病院に設置されるちゅう房施設又は洗浄施設又は入浴施設(みなし病院施設)、及び建築基準法施行令に基づく基準により算定した処理対象人員が 201 人以上 500 人以下のし尿浄化槽(みなし浄化槽) - 貯油施設等:
重油その他の政令で定める油を貯蔵し、又は油を含む水を処理する施設であって、以下に掲げるもの(特定施設を除く)
ア 重油その他の政令で定める油を貯蔵する貯油施設
イ 重油その他の政令で定める油を含む水を処理する油水分離施設
※政令で定める油:原油、重油、潤滑油、軽油、灯油、揮発油、動植物油 - 指定施設:
有害物質を貯蔵し、若しくは使用し、又は有害物質及び油以外の物質であって公共用水域に多量に排出されることにより人の健康若しくは生活環境に係る被害を生ずるおそれがある物質として政令で定めるもの(指定物質を製造し、貯蔵し、使用し若しくは処理する施設 - 指定事業場:
指定施設を設置する工場、事業場 - 特定排出水:
排出水のうち、指定地域内の特定事業場において事業活動その他の人の活動に使用された水であって、専ら冷却用、減圧用その他の用途でその用途に供することにより汚濁負荷量が増加しないものに供された水以外のもの
- 公共用水域:
(3)事業者の義務
特定施設等を設置し、工場・事業場から排出水を排出し、又は特定地下浸透水を地下に浸透させる事業者には次のような義務が課せられます。
ア 特定施設等の設置等に当たって届出をすること。
- 特定施設等の設置の届出(第5条第1 項、第2 項、第3 項)
- 特定施設等の使用の届出(第6条第1 項又は第2 項)
- 排出水の排水系統別の汚染状態及び量の届出(第6条第3 項)
- 特定施設等の構造等の変更の届出(第7条)
- 氏名の変更等の届出(第10 条)
- 特定施設等の使用廃止の届出(第10 条)
- 特定施設等の承継の届出(第11 条)
- 汚濁負荷量測定手法の届出(第14 条第3 項)
イ 排水基準、総量規制基準の遵守及び有害物質を含む特定地下浸透水を地下へ浸透させないこと(第12 条、第12 条の2、第12 条の3)
ウ 有害物質使用特定施設又は有害物質貯蔵指定施設の構造、設備及び使用の方法の遵守(第12条の4)
オ 排水口の位置等排出方法を適切にすること(第14 条第4 項)。

2_事業者の義務
水質汚濁防止法により定められた特定施設等を設置し、公共用水域に排出水を排出する者又は地下に特定地下浸透水を浸透させる者は、次のア~キの届出をしなければなりません。
- 当該工場、事業場からの排出水(雑排水、雨水等を含む。)が全くないもの。
- すべての排水(雑排水、雨水等を含む。)が、終末処理場に接続する合流式の下水道に流入するもの
- すべての排水(雑排水、雨水等を含む。)が、別の工場・事業場に流入したり、複数の工場・事業場の排水を共同で処理する処理場に流入するもの。
2,3の場合は各々、下水道の管理者、排出水を処理する工場・事業場、共同処理場の管理者が届出の義務を負うことになります。)
特定施設を設置し、工場・事業場から公共用水域に水を排出する者又は地下に特定地下浸
透水を浸透させる者は工事着手予定日の60 日前までに特定施設設置の届出をしなければなりません。
また、有害物質使用特定施設・有害物質貯蔵指定施設を設置する者は、同様に工事着手予
定日の60 日前までに特定施設等の設置の届出をしなければなりません。届出が受理されたときは、受理書が交付されます。
また、従来、特定施設等でなかった有害物質使用特定施設・有害物質貯蔵指定施設が追加指定された場合、指定された日から30 日以内に特定施設等の使用の届出をしなければなりません。
従来、総量規制に係る指定区域でなかった地域が新たに指定された場合、既に特定施設を設置(工事中を含む。)し、排出水を排出している者は指定された日から60 日以内に排出水の排水系統別の汚染状態及び量の届出をしなければなりません。
第5条第1項~第3項、第6条第1項又は第2項の届出をした者が、特定施設等の構造、特定施設等の設備、特定施設等の使用の方法(下水道に接続した場合を含む。)、汚水等の処理の方法、排出水の汚染状態及び量、特定地下浸透水の浸透の方法、排出水又は特定地下浸透水に係る用水及び排水の系統を変更する場合は、工事着手予定日の60 日前までに、特定施設等の構造等の変更の届出をしなければなりません。
届出要否の判定フロー
オ 氏名等の変更、特定施設等の使用廃止届出(第10 条)
第5条第1項~第3項、第6条第1項又は第2項の届出をした者は、氏名、名称、所在地等に変更があった場合または特定施設等の使用を廃止した場合は、それぞれ変更、廃止の日から30 日以内に変更、使用廃止の届出をしなければなりません。
なお、有害物質使用特定施設の使用廃止の届出を行った場合、工場又は事業場の土地の所有者に対し、土壌汚染対策法に基づく土壌汚染状況調査の義務が発生しますので、留意してください。
カ 承継届出(第11 条)
第5条第1項~第3項、第6条第1項又は第2項の届出をした者から、当該特定施設等を
承継した者は、承継の日から30 日以内に特定施設等の承継の届出をしなければなりません。
キ 汚濁負荷量測定手法届出(第14 条第3項)
指定地域内事業場は、あらかじめ汚濁負荷量の測定手法を届け出なければなりません。ま
た、届出に係る測定手法を変更する場合も同様です。
ク 事故時の届出(第14 条の2)
(ア)特定事業場の設置者(第14 条の2 第1 項)
特定事業場の設置者は、事故により有害物質を含む水若しくは生活環境項目について排
水基準に適合しないおそれがある水が公共用水域に排出され、又は有害物質を含む水が地
下に浸透したことにより人の健康または生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるときは、
ただちに、有害物質を含む水若しくは当該排水基準に適合しないおそれがある水の排出又
は有害物質を含む水の浸透の防止のために応急の措置を講ずるとともに、速やかにその事
故の状況及び講じた措置の概要を届け出なければなりません。
(イ)指定事業場の設置者(第14 条の2 第2 項)
指定事業場の設置者は、事故により有害物質又は指定物質を含む水が公共用水域に排出
され、又は地下に浸透したことにより人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれが
あるときは、ただちに有害物質又は指定物質を含む水の排出又は浸透の防止のための応急
の措置を講ずるとともに、速やかにその事故の状況及び講じた措置の概要を届け出なけれ
ばなりません。
(ウ)貯油事業場等(貯油施設等を設置する工場又は事業場)の設置者(第14 条の2 第3 項)
貯油事業場等の設置者は、事故により油を含む水が公共用水域に排出され、又は地下に
浸透したことにより生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるときは、ただちに油を含む
水の排出又は浸透の防止のための応急の措置を講ずるとともに、速やかにその事故の状況
及び講じた措置の概要を届け出なければなりません。
水質汚濁防止法等に基づく届出一覧表
3_実績
届出要否の判定フローによる許認可確認
設置する屋外タンク貯蔵所は、
1)特定施設に該当
2)有害物質を製造・使用または処理を目的とする施設に該当
3)工場・事業所から公共用水域への排水なし
のため、法第5条第3項に基づく届出が必要
水質汚濁防止法の特定施設届出様式の記載要領
法第5条第3項に基づく届出が必要となるため、
様式第1および別紙12~15が必要となる。