今回はマネジメントに必要な能力について紹介します。
個人的能力
A-1 バイタリティ
目的に対して能動的に取り組み、より高いレベルの活動をやり抜く能力
(強):当事者意識をもって真剣に取り組む
:より高いレベルの成果を目指し、最後までやり抜く
(弱):当事者意識が希薄で、第三者的な姿勢や傍観者的な態度を示す
:目指す成果のレベルが低く、安易な妥協や諦めに陥る
A-2 自主独立性
他者に依存することなく、自己の信念に基づいて行動する能力
(強):他者の見解をうのみにせず、自身の納得のいく根拠を追求する
:周囲や他者に流されず、自己の信念に基づいて行動する
:基準や方針が不明確な状況でも、自分自身の考えに基づいて是非を明快に示す
(弱):他者の指示や意見を、吟味せずそのまま受け入れる
:他社の言動に影響され、迎合的・追随的な態度に陥る
:基準や方針を示されないと、自分では動きがとれない
対人関係能力
B-1 影響力
個および集団に対して、目指す方向や方針を示して働きかけ、課題達成に導き、影響を与えていく能力
(強):目標や達成基準を明確に示し、目標達成に向けメンバーの力を一つに集結させる
:中心的な役割を担い、周囲を牽引していこうとする意欲や危害を示す
:周囲に協力を求めたり、参画を促しメンバーの自発的な行動を引き出す
(弱):目標や活動の目標を共有できず、目標達成に向けてメンバーの力を結束できない
:補佐役やサポート役に回り、周囲を牽引していこうとする気概が乏しい
:メンバーの結束に関心が薄く、事態の打開や解決に向けての収束にも無関心である
B-2 柔軟性
対人状況において、自己の行動を適宜修正しながら目標達成に努める能力
(強):時間の制約や事態の成行きを踏まえ、必要に応じて自身の考え方や
やり方をを調整する
:相手や状況の変化を察知して、必要に応じて軌道修正をおこなう
(弱):自分の考え方ややり方に固執し、他者との意見のすり合わせを怠る
:相手や状況の変化に関係なく、同じアプローチや杓子定規な対応をとる
B-3 感受性
人の気持ちや、状況変化を察知する能力
(強):場のニーズや雰囲気を察し、配慮ある行動をとる
:相手の反応に注意し、自分が与える影響を感じる
(弱):自分のとる行動の及ぼす影響に気が付かない
:他者の行動や発言を遮ったり、無視したりする
意思疎通能力
C-1 情報把握力
情報を正しく、早く、とらえる能力
(強):文章・資料から主旨・重要なデータを素早く読み取る
:文章や会話の中から要点を的確に把握する
:見聞きした情報を正確に記憶する
:言葉の背後にある意味をよく理解する
(弱):主旨や概要を理解するまでに時間がかかり過ぎる
:文章や会話に内容を誤解したり、聞き漏らしたりする
:部分情報に目が奪われて特定の情報しかつかめない
:自分の考えのみに気を取られて、他者のもっている情報への関心が薄い
C-2 表現力
事実や思いを口頭や文章で明確に伝える能力
(強):論点を明確にして理路整然と話す
:表情や身振りが自然で適度なテンポ、めりはりのある明瞭な話し方をする
:聞き手や状況に適した言葉で分かりやすく話す
:適切。簡潔な文脈で自分の考え方や意図を表現する
(弱):内容が抽象的・概念的で、訴求力を欠く
:冗長あるいは断片的で発言の意図や論点が分かりにくい
:文脈が通らず、要点が分かりにくい
課題形成能力
D-1 分析力
情報を吟味し、状況や課題を明確にする能力
(強):事実や手元情報を整理して、問題点を明確にする
:状況を論理的に吟味して、取り組むべき課題を設定する
:現状のさまざまな兆候から、将来起こりうる問題を認知し、予測する
:事実をベースに課題の根拠を明らかにする
(弱):先入観や偏見を決めつける
:気合と経験則に頼り、取り組むべき課題を明確にしない
:根拠を探るよりも結論に飛躍する
:現状の対応にとらわれ、先々起こりうる問題やリスクへ関心を払わない
D-2 変革指向
変化を肯定的に受入れ、現状の改革を試みる能力
(強):現状に満足せず、常により高いレベルの成果を求め、現状の改革に力を注ぐ
:組織内外で起こる変化に対し、常に敏感である
:変化をチャンスとして前向きにとらえ、意思決定や事業の発展に活かす
:現状に満足せず、常により高いレベルの成果を求め、現状の改革に注力する
(弱):変化を拒み、あるいは抵抗し、改革に否定的である
:内外の状況変化に鈍感で、楽観的である
:現状に満足し、変化に対して消極的である
:従来のやり方を踏襲し、変化に対する適応努力を欠く
D-3 判断力
論理の筋道を立て、客観的な視野から適切な解決策に到達する能力
(強):対策がもたらす結果を比較・検討し、評価して効果的な最適案を追求する
:さまざまな状況を想定し、時宜にかなった対策を多数準備する
:前提や制約条件を考慮し実践的な活多面的な対策を講じる
:対策は現有資源に見合った妥当なものであり、資源調達の方法も考慮されている
:公平な立場に立ち、偏りのない考え方に基づいて客観的に対策を選択する
(弱):選んだ対策の効果や周りに及ぼす影響を考慮しない
:現象に対して反射的・即応的であり、対応の幅が限定される
:置かれた状況にそぐわない原則論やべき論に固執する
:現有資源に見合わない対策を選択し、事態を悪化させてしまう
:効果性や実現性を考えずに対処し、机上の空論になる
D-4 目標設定力
自分の到達点を具体的に定める能力
(強):設定した目標を達成するための具体的指針を示す
:組織の目標を適切に認知し、部門の目標を打ち出す
:自らの目指すところが明確で、言動が分かりやすい
:メンバーの力量や意見を加味しながら、納得感のある目標を掲げる
(弱):設定された目標は組織方針に適さず、整合性がとれていない
:目標設定の根拠があいまいである
:長期的な視野や展望がなく、目前のことに反応する
:目指す方向性が不明瞭で言動の日和見的である
課題遂行能力
E-1 決断力
結論を適時、明快に打ち出す能力
(強):必要な時に、タイミングよく決める
:不確定情報下でも安定した決定を下す
:責任の所在を明確にし、進んで決定に関与する
:迅速に適切な結論に到達する
(弱):決定を保留し、完結のメドが立たない
:十分な情報が揃うまで意思決定を先送りにする
:他から催促され、しかたなく決定する
:あまりにも早過ぎる結論を出し、論理の飛躍がある
E-2 実行計画力
自分の活動を実践的に設計する能力
(強):手順・段取りが合理的で無理がない
:リスクの回避策や対応策を常に考えた実施計画を立てる
:内外の状況を考慮し、優先順位をつけて計画を練る
:目標レベルは自己と集団の能力を考慮しており実行可能でる
(弱):活動内容と時間配分がアンバランスでムダ・ムラ・ムリがある
:目先の事柄にとらわれて、重要度や緊急度を考慮しない
:思い付きで指示を出し、実施を急ぐ
:チームの実行能力を考慮しない机上のプランとなり実現性が薄い
E-3 人材活用力
意思決定は誰げ、いつ、どのように行うのが最も良いかを理解し、メンバーを有効に活用し育成していく能力
(強):業務の適任者を見極め、責任と権限の所在を明確にする
:メンバーの能力や習熟度に合わせ、適切に業務を割り振る
:適宜必要な支援を行い、メンバーの業務遂行を促進する
:メンバーの意思を尊重しながら、新たな業務に取り組ませる
(弱):一人で業務を抱え込み、メンバーに権限を委譲しない
:レベルを考慮せず、難易度の高い業務をいきなり任せる
:自身がすべき仕事もメンバーに丸投げして責任を負わない
:定型業務のみを担当させ、能力開発の機会を与えない
:相手の状況を考えず自分の都合や思い付きで仕事を指示する
E-4 成果管理力
自分の活動をチェックし、成果を確実にする能力
(強):進行状況を確認し、逸脱や未達の是正を図る
:達した仕事やその成果を正しく見届ける
:自分の下した意思決定や行動に対して最後まで責任をもつ
:基準や規則からの逸脱を適宜指摘し、成果の確保に努める
(弱):進行度合いを確認せず、是正。修正すべきことをそのまま見過ごす
:成果や結果のみを重視し、仕事のやり方やプロセスを評価しない
:期日管理や報告の意識が乏しく、言いっ放しになる
:何もかも細かく統率し過ぎる
まとめ
定義 | ||
---|---|---|
個人的能力 | バイタリティ | 目的に対して能動的に取り組み、より高いレベルの活動をやり抜く能力 |
自主的独立性 | 他者に依存することなく、自己の信念に基づいて行動する能力 | |
対人関係能力 | 影響力 | 個および集団に対して、目指す方向や方針を示して働きかけ、課題達成に導き、影響を与えていく能力 |
柔軟性 | 対人状況において、自己の行動を適宜修正しながら目標達成に努める能力 | |
感受性 | 人の気持ちや、状況変化を察知する能力 | |
意思疎通能力 | 情報把握能力 | 情報を正しく、早く、とらえる能力 |
表現力 | 事実や思いを口頭や文章で明確に伝える能力 | |
課題形成能力 | 分析力 | 情報を吟味し、状況や課題を明確にする能力 |
変革指向 | 変化を肯定的に受入れ、現状の改革を試みる能力 | |
判断力 | 論理の筋道を立て、客観的な視野から適切な解決策に到達する能力 | |
目標設定力 | 自分の到達点を具体的に定める能力 | |
課題遂行能力 | 決断力 | 結論を適時、明快に打ち出す能力 |
実行計画力 | 自分の活動を実践的に設計する能力 | |
人材活用力 | 意思決定は誰げ、いつ、どのように行うのが最も良いかを理解し、メンバーを有効に活用し育成していく能力 | |
成果管理力 | 自分の活動をチェックし、成果を確実にする能力 |
人には得手不得手があるので、すべてを満足にこなすのは困難です。必要な知識を把握したうえで得意分野を延ばす、苦手分野を克服していくことが重要だと感じます。